マウスウォッシュはアルコールタイプとノンアルコールタイプで効果に差がある?

こんにちは歯科医師のどら猫です。

先日こんな質問を受けました

マウスウォッシュってアルコールありとアルコールなしがあるじゃないですか。アルコールありの方が効果が強いんですか?

という質問をいただきました

アルコールありの方が刺激が強いので、苦手という方も多かったり、逆によく効いている感じいい!という方もいると思います。

結論から先に言いますと
アルコールなしでもありでも効果は変わらない。
アルコールの有無で
殺菌作用や薬用効果には影響しません。

なので、基本的にアルコールなしでも問題ありません。

できるだけ長時間の間(メーカーによりますが20~40秒)口に含めるほど効果が高いので、アルコールのせいで口に含める時間が短くなってしまうくらいなら刺激が少ないノンアルコールタイプの方がおすすめです。今まで、効果がありそうだから我慢してアルコールタイプを使用していた方がいるならノンアルコールタイプにしましょう。爽快感や刺激を求める方はアルコールありでも大丈夫です。

目次

アルコールはなんにために入っている?

メーカーによりますが、アルコール入りのマウスウォッシュの90%ほどを構成する基本成分で、主な役割は溶解剤として配合されています。

有効成分をマウスウォッシュとして液体にするためには溶解剤が必要です。溶解材には主にアルコールの一種であるエタノールが使用され、有効成分をマウスウォッシュに溶けこませる役割があります。

アルコールタイプとノンアルコールタイプの違い

マウスウォッシュは主に水、溶剤、湿潤剤で構成されています。そして、虫歯や歯周病などを予防する殺菌剤、その他に界面活性剤、香味剤、保存剤などが含まれます。アルコールタイプとノンアルコールタイプの違いは、以下の通りです。

・溶解剤が異なる
・爽快感
・薬用効果は変わらない

溶解剤が違う

アルコールタイプの溶解剤は主にエタノール、ノンアルコールタイプの溶解剤は主にポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール(POP-PEG)通称:PGが使われています。薬用成分などの水に溶けにくい成分を溶け込ませる役割があり、マウスウォッシュの成分の約90%程度を占めます。

アルコールの有無で溶剤が異なるために爽快感も違ってくるということです。

薬用効果は同じ

アルコールって消毒にも使われているよね?入っていたほうが殺菌効果が高いんじゃないの?

どら猫

おそらく、ここがみなさんが気になるポイントですよね

アルコールの一種であるエタノールを消毒として使う場合、70%エタノールがもっとも強い殺菌・消毒力をもつと言われてきましたが、現在では60~95%の濃度範囲であればその殺菌・消毒にはほとんど差がないと言われています。

マウスウォッシュに含まれるアルコールの濃度はメーカーによって様々ですが、多くとも濃度30%ほどです。

お酒として考えると、めちゃくちゃ高い度数だなーと感じますよね?しかし、殺菌や消毒として考えると、濃度が低く殺菌効果はほぼ無いためアルコールの有無は殺菌作用にあまり影響しません

実は誤解されやすいのですが、アルコールの消毒には水分の影響が特に大きく、100%のエタノールにはほとんど殺菌・消毒力がありません。

しかし、脂肪で構成されるエンベロープをもつウイルスの場合にはエンベローブに反応して、これを破壊することから、100%あるいはそれに近い濃度がもっとも消毒効果が高いと言われています。

また、虫歯や歯周病、知覚過敏の予防などの薬用成分の配合割合はアルコールありなしで変わらないので、薬用効果も同じです。

アルコール入りのマウスウォッシュ使用時の注意点

製品により多少の差異はありますが、マウスウォッシュに含まれるアルコールの最大濃度は約30%ほどです。

運転前や運転中、子どもは使用しないのが望ましく、妊娠中は基本的に使用できますが、アルコールによる胎児への影響が心配な場合はノンアルコールコールタイプを選ぶのが良いでしょう。

運転時に使用して呼気検査すると飲酒運転とみなされる可能性がある

え!でも、実際にお酒を飲んでいなかったら大丈夫でしょ?

どら猫

この話しの面白いところは、実際に警察に聞いてみたっていうブログがあるとこなんだよ

ちなみに、飲酒運転(酒気帯び運転)の基準は、次の2つの基準のどちらかいずれかに該当した場合です。

❶血液1mlにつき0.3mg(血中アルコール濃度0.03%)
❷呼気1リットルにつき0.15mg以上

上記のアルコール濃度で車を運転すると、酒気帯び運転になります。

アルコール入りマウスウォッシュは製品によっては、呼気1リットル当たり0.15mg以上のアルコールが呼気検査で検出される可能性があり、酒気帯び運転と判断されるため運転時は使用しないほうが良いでしょう。

警察に聞いてみた(引用)

飲酒検問に引っかかった際に「実は直前にマウスウォシュしたので、呼気検査で正確な数値が出ません」と申告したら、血液検査とかに切り替えてくれるのかも? この点も気になったので警察に直接聞いてみたぞ。

筆者:「飲酒運転に関して質問なのですが」

警察:「はい、何でしょうか」

筆者「飲酒検問に遭遇したドライバーが直前にマウスウォッシュを使用していた場合、お酒を1滴も飲んでいないのに呼気検査の数値が0.15を越えてしまう可能性があります。その際、ドライバーが希望すれば血液検査などに切り替えてもらうことは可能なのでしょうか」

警察:ドライバーの申告や希望によって、検査方法が変わることはありません。ただし、現場の警察官の判断によって、血液検査を受けてもらう可能性はあります」

筆者「となると、もしお巡りさんが『マウスウォッシュしてようが何だろうが、呼気検査しか受け付けん!』となった場合、お酒を飲んでないのに検挙されるというケースもあるかと思うのですが……」

警察:「お酒でもマウスウォッシュでも関係ありません。問題はアルコールが体内に摂取されていることなのです」

筆者「マウスウォッシュはうがいなのですが、それも『アルコールを体内に摂取した』と見なされますか?」

警察:「現場の警察官の判断に依りますが、そう見なす可能性は大いにあるでしょう」

——以上である。

引用:【検証】飲酒検問の前にマウスウォッシュしてたらアウトなのか? 『リステリン』など5種をアルコール検知器で試した結果 → 基準値オーバーしまくり!!

妊娠時の使用

基本的に使用して問題ありません。

うがいすることで大量にアルコールを体内に摂取するわけではありませんので、使用しても問題ありません。

妊娠時のアルコール摂取に関しては、妊娠中の1日のアルコール摂取量が15ml未満(ワイングラス1杯未満)であれば胎児への影響は少ないが、胎児に影響が出ない安全量は確立されていないと日本産婦人科医会からは発表されています。

もし、心配であればアルコールなしのマウスウォッシュを使用しましょう。

アルコール入りマウスウォッシュの注意点

アルコールが入っているマウスウォッシュは強い爽快感がありますが、強い刺激の結果、口腔内のトラブルを引き起こす可能性があります。

一時的に口臭が強くなることがある

アルコールには乾燥性があり、刺激が強過ぎるマウスウォッシュが唾液の分泌を阻害して乾燥による口臭が発生しやすくなることがあるので、使い過ぎには注意しましょう。

よくあるネットの情報にアルコール入りマウスウォッシュを使うと「口腔乾燥症」(ドライマウス)になってしまい、口が乾燥しやすくなってしまう。というのがあります。

マウスウォッシュに限らず、アルコールが入っている飲み物は基本的には乾燥性があります。お酒なんか飲むと喉が渇きますね?

口が渇く=口腔乾燥と口腔乾燥「症」(ドライマウス)は異なります。実際に広義の意味では同じ扱いとなっていますが、実際に歯科医師たちは使いわけています。

口内炎のある人やドライマウスの人は使用を避ける

アルコールによる刺激が強すぎると口の粘膜に異常が現れたり、口内炎や傷がある場合は悪化したりする恐れがあるので使用を避けるのが望ましいです。いつもは問題無く使用していても歯肉炎によって歯茎が腫れているときは部分的にマウスウォッシュが沁みて痛くなる場合があるので、いつもと違う異常を感じたら無理に使わずにすぐ吐き出して水うがいをしましょう。

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