本当に効果がある?SNSで人気のマウスウォッシュ「コンクールF」の知らなきゃいけない真実

歯科医師のどら猫です。

今回は歯科医師や歯科衛生士さんがオススメしていたり、SNSで話題のマウスウォッシュ「コンクールF」について話していこうと思います。

この記事ではコンクールFのメイン薬用成分であるクロルヘキシジンついての記事を書いています。

目次

コンクールFとは

Weltec(ウエルテック)社が販売するマウスウォッシュです。
Weltecのホームページに記載されているコンクールFの「効果・効能」と「成分情報」と「製品特長」は以下の通り。

効果・効能

  • ムシ歯の発生および進行の予防
  • 歯肉炎の予防
  • 歯槽膿漏の予防
  • 口臭の防止

成分情報と配合目的の説明

成分名称配合目的
プロピレングリコール(PG)溶解補助剤
エタノール溶解補助剤
POE(60)硬化ヒマシ油溶解補助剤
メントール矯味剤
緑茶抽出液矯味剤
クロルヘキシジングルコン酸塩液薬用成分
グリチルリチン酸アンモニウム薬用成分
香料(ペパーミントタイプ)着香剤
黄4着色剤
青1着色剤
  • 溶解補助剤とは、水に溶けにくい物質を溶解させる過程を助けるために使われる化学物質
  • 矯味剤とは過剰な苦味、酸味、渋みなどを和らげたり、味のバランスを整えたりするために使われます。
  • 着香剤とは食品や飲料、化粧品、洗剤などに香りを加えるために使用されます。
  • 着色剤とは食品、化粧品、医薬品、繊維、化学製品などに色を加えるために使用されます。
  • 薬用成分が一番大事!私たちが歯科製品を買う上で一番注目したいのがここです。

クロルヘキシジンの効果・効能

どら猫

このクロルヘキシジンがコンクールFのメイン薬用成分

  • 殺菌作用
  • 細菌が歯に付着するのを抑制
  • 口臭の防止

グリチルリチン酸アンモニウム

HPでは書いていませんでしたが、効果・効能はこちら

  • 抗炎症作用
  • 抗アレルギー作用
どら猫

以上のことが、ホームページでは記載されていますが、本当に話題になるほどの効果があるのかな?

注目

みんな知らない「クロルヘキシジン」の有効濃度と制限

クロルヘキシジンは昔から使われている抗菌剤です。
昔から使われているからこそ、たくさん研究されていて、たくさん論文も書かれています。
歯科分野におけるクロルヘキシジンの効果は、確かにWeltecのHPでも書かれている通りの効果があります。

  • 高い殺菌力
  • 歯面に吸着してプラークの再付着を抑制する
  • 口臭の防止

しかし、これらの効果を発揮するためにはある条件があります。

それは、濃度です。

歯科分野におけるクロルヘキシジンが「有効とされる濃度は0.2%」とされています。

海外ではクロルヘキシジンを含むマウスウォッシュはポピュラーですがその濃度は0.12%~0.2%で使用されています。

しかし、日本では歯科におけるクロルヘキシジンの濃度は「原液で0.05%」までと法律で規制されています。

なんで日本はそれだけしか入ってないの?

どら猫

クロルヘキシジンのアナフィラキシーショックが起こってしまって、粘膜に直接触れる歯科では使用濃度に規制がかかってしまったんだよね。

そして、コンクールFは水で薄めて使うタイプだから、原液0.05%からさらに薄くなってしまいます。

Weltec社の調べではコンクールFを洗口液として適正使用時のクロルヘキシジ濃度は0.0001%~0.0006%とされているそうです。

ある歯科医師のお話しでは、日本のクロルヘキシジン濃度を、海外の歯科関係者に言うとめっちゃ驚くらしいです。「そんな低い濃度で効果あるのかい?」といった感じです。また、0.05%のクロルヘキシジン洗口液でもプラークの形成を抑制するという議論もあります。議論があるということは、確たるエビデンス(根拠&証拠)はないんです。

ちなみに0.0001%~0.0006%でも口腔細菌に対して増殖抑制効果があるとWeltec社は公表してます。

どら猫

安心、安全を優先するのはいいことなんだけど、はたしてそれって効果があると言えるのだろうか…?

論文からみる「クロルヘキシジン」

『BMC Oral Health』

0.06%、0.12%、0.2%の3つの濃度のクロルヘキシジン含有洗口剤における、プラークの再付着や歯肉炎を抑制する効果と、その副作用について調べた研究。

  • 0.2%が他の濃度のものに比べてプラークの再付着を抑制するとわかった。
  • 0.06%と0.12%ではプラークの再付着の抑制に差はほとんどなかった。
  • 歯肉炎ではどの濃度も差はほとんどなかった。
  • 副作用では0.12%と0.2%に多かった。

口臭抑制効果

論文の内容を一部抜粋
「継続投与による長期間の口臭抑制効果を有する洗口液として、高濃度のクロルヘキシジンが報告されている。これらの洗口液は抗菌作用を主な作用機序とするが、即効性に関する報告はない。またクロルヘキシジンの有効濃度は0.2%であり、日本では高濃度のクロルヘキシジンは粘膜投与が制限されているほか、歯の着色、味覚異常、舌尖部の灼熱感などの副作用の報告があり、口臭予防のために高濃度のクロルヘキシジンを頻用することは現実的ではない。」と書かれています。

また、「われわれの研究結果から、同濃度のクロルヘキシジが含有されている洗口液に十分な口臭抑制効果を認めるとはいいがたい。」とも書かれています。

引用:口腔衛生学会雑誌「0.1%塩化亜鉛洗口剤の口臭抑制効果

グラフから、比較されている洗口液は0.05%クロルヘキシジン洗口液です。これはコンクールFの原液濃度と同じです。

グラフを見てわかる通り、0.1%塩化亜鉛洗口液のほうは30分後には口臭物質はほぼ0になります。
対して0.05%クロルヘキシジン洗口液は最初の濃度の約半分も減少しておりません。

0.05%クロルヘキシジン洗口液に十分な口臭抑制効果を認めるとはいいがたい。

「揮発性硫黄化合物」とは口臭の原因物質です。

日本歯周病学会

内容を一部抜粋

引用:日本歯周病学会「歯科衛生士が知っておきたい洗口剤の応用

ポイントを抜粋

  • 海外では0.12%~0.2%クロルヘキシジン洗口液として広く応用されている。
  • 歯周治療への応用に関して多くの研究がされているが、研究の対象となっている濃度は0.12%~0.2%
  • 日本ではアナフィラキシーショック例が報告されたことから原液濃度で0.05%までに規制されている。

クロルヘキシジンの殺菌力

引用:第53回 日本口腔衛生学会総会発表「浮遊性A.viscosusに対する各種抗菌剤の殺菌活性。」

このグラフではクロルヘキシジンの限界濃度0.05%でも殺菌効果は他の抗菌剤に比べて見劣りします。

さらに適正使用の場合は水で薄めて0.0001%~0.0006%にするわけです。一部の細菌に対する結果とはいえ、さすがに高い殺菌力とは言えない。

厳密にいうと「殺菌作用」と「増殖抑制」は違います。殺菌は文字通り「菌を殺す」。つまり、菌の数を減らす。それに対して「増殖抑制」は菌の数は減少してないけど増えてもいない。これは「静菌作用」といいます

吉田製薬さんの説明にも「クロルヘキシジンの特性」に

「ブドウ球菌に対するクロルヘキシジンの抗菌作用に関しては諸説がある。速効的な殺菌力においてはあまり優れていないが、持続効果や静菌力においては優れていると理解することが妥当と思われる。」と書かれています。

また、「クロルヘキシジンは水道水(特に硫酸イオンを含むもの)や生理食塩水で希釈すると沈殿を起こし、殺菌力が低下する。」とも書かれています。

つまり、0.0001%~0.0006%の濃度で細菌を増殖抑制効果(静菌作用)はあっても殺菌作用は高くない。

商品説明ではA.viscosusに対して0.0001%~0.0006%の濃度でも効果ありと記載されています。

SNSでの反応

スクロールできます
どら猫

口臭に対してのいい意見が多いですね。

ツイートを見た後でのおさらい

口臭に対して

論文の結果からわかる通り

コンクールFは口臭に対して即効性はなく、十分な口臭抑制効果を認めるとはいいがたいです。

すぐにいい匂いになるのは香料のせいでしょう。つまり、他のよい香りや別の強いにおいで包み隠すマスキング効果です。口臭に悩みがあるなら、コンクールFより口臭の原因物質に有効とされる成分である

「塩化亜鉛」(ジンククロライドと表示されている場合もある)
「亜塩素酸ナトリウム」(二酸化塩素と表示されている場合もある)

が入ってる洗口液を使ったほうが効果的です。それにマスキング効果を重視するにしても、それならSNSで人気のLUSHのマウスウォッシュでもいい気がします。

殺菌作用に対して

殺菌力に焦点を当てても、有効濃度0.2%をはるかに下回る濃度では、静菌作用はあっても、殺菌力が「高い」とは言えません。クロルヘキシジンより低濃度で「高い」殺菌力の成分は他にもあります。ですが、口の中からは約500~700種類の細菌が検出されています。そのすべての細菌に効果があると証明されている商品はありません。つまり「これ使っておけばOK」というものはないんです。

どら猫

口臭に悩んでいる人は世の中にたくさんいますが、口臭に悩んでいる人たちがコンクールFを使用しても、あまり効果を得られない可能性が高いです。

なぜこんな人気になったのか

どら猫

インフルエンサーによる過大評価と誇張評価。

人気なもの、有名なものをおすすめして、すごい効果があると謳って注目を集める。

その結果がコンクールFの人気や話題につながったのだと思います。

歯医者さんや歯科衛生士さんもおすすめしてるよね?

でもさ、歯医者さんや歯科衛生士さんもおすすめしてるの結構見聞きするけど?

どら猫

正直に言うと…クロルヘキシジンに有効濃度があったり、濃度に規制があることを知らないんじゃない?ニッチな話しだし。

知らないのにおすすめしてるの?

どら猫

逆にさ、知ってるのに「あえて言ってないなら」それはそれでやばくないか?というか、普通は患者さんの目的(悩み)に合った効果のある商品をおすすめするよ

たしかに…それじゃあ、コンクールFを使ってる歯科医院はなんで使ってるの?

どら猫

う~ん…そのクリニックの院長先生の考え方によるだろうけど、メインは恐らく「粘膜に残留して持続的な抗菌作用を発揮」が目的じゃないかな?歯科治療は小規模な外科手術と同じ。術前に使用してもらって術中の間、抗菌作用が持続して欲しいんだよね。殺菌効果が「高い」からではなく「持続時間」に注目してるんだよ。うちは使ってないけど。

コンクールFを使用している人へ注意事項

クロルヘキシジンの特徴として、電荷的にマイナスな物質と相性が悪いです。例えば、歯磨き粉に含まれる発泡成分(例:ラウリル硫酸ナトリウム)、水道水に含まれる硫酸イオン、研磨剤とくっついてしまい、クロルヘキシジンの抗菌効果と歯磨き粉の薬用効果を低下させてしまうことがあります。だからだと思いますが、コンクールの歯磨き粉バージョンである「ジェルコートF」は発泡剤や研磨剤が入っていません。なので、もし今後もコンクールFを使用するのであれば、以下の点に注意してください。

・発泡剤や研磨剤が入っていない歯磨き粉ではないと効果が低下する可能性がある。
・発泡剤や研磨剤入りの歯みがき粉を使用するのであれば、歯みがき後30分経ったあとにコンクールFでうがいすることをおすすめします

まとめ

  • クロルヘキシジンの殺菌作用があるとされている有効濃度は0.2%となっている。
  • コンクールFを適正使用時のクロルヘキシジン濃度は0.0001%~0.0006%である。
  • Weltec社は0.0001%~0.0006%でも口腔細菌に対して増殖抑制効果があると公表している。(自社調べ)
  • クロルヘキシジン0.05%以下の濃度では十分な口臭抑制効果を認めるとはいいがたい
  • 歯肉炎でも有効というほどの効果は得られていない。
  • SNSの評価は信じすぎないように。
  • 発泡剤や研磨剤入りの歯磨き粉とコンクールFの使用方法には注意。

以上のことを知った上でコンクールFを使うのであれば問題はありません。結局使うか使わないかを決めるのはその人次第です。実際にコンクールFを使うとなんか口の中の調子がいいという人もいるでしょう。逆に、こんなに話題の商品なのに悩みが全然改善されないという人もいるでしょう。何も考えず、おすすめだから使ってみようというのはやめましょう。

例えばこれが洗顔や美容液などのスキンケア用品だとしたら、自分の肌質にあったものを選びますよね?
またはエイジングケア、UVケア、保湿重視、美白、毛穴ケア重視とか何か目的があるでしょう?

歯科用品も同じです。私も友人や患者さんにどんな商品がいいか聞かれたら、その人の目的(悩み)を聞いて、それに合った商品を選びます。

ではまた次の記事で

どら猫

歯ぁ磨けよ~

追伸
コンクールFは濃度を薄めて使用するものなので、間違っても原液で使用しないでください。用量用法を守って正しく使用してください。

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