雑誌、ネットなので口臭予防サプリメントや歯磨き粉、マウスウォッシュなどの口臭ケアグッズがありますが、効果にエビデンス(証拠・根拠)がないものが多いです。
X(旧ツイッター)でもインフルエンサーたちが多くの口臭ケア製品をツイートしています。
ですが、どんな成分が効果があるかの説明はほぼなく「知り合いの歯科医師or歯科衛生士から聞いた~~」とか「本当に効果ある!まじで試してみて!」とか書かれてます。そういうツイートを見るたびに

いや、成分表見ても口臭に効果のある成分どこにも書いてなくね?
と思っています。
というかほとんどの歯磨き粉、マウスウォッシュに「口臭予防」って書いてませんか?
これは殺菌成分や炎症を抑える成分が入っていれば、結果的に口臭「予防」につながるよね?
というのがほとんどの製品に「口臭予防」と書いてある理由なんです。
屁理屈いえば、殺菌成分があれば虫歯だって歯周病だって歯肉炎とかの大抵の口のトラブルを結果的に予防できるよ。
だから「〇〇予防」といっぱい書いてあってもあながち間違いではないってわけです。
「予防」はあくまで「予防」、口臭がない人がなりにくくするためのもの。
口臭がある人が使っても口臭対策として有効ではない場合が多いんですよ。
では、本当に効果のある薬効成分とはどんな成分なのか?
口臭に本当に効果のある成分
①亜塩素酸ナトリウム(二酸化塩素として表示されている場合もあります。)
②塩化亜鉛(ジンククロライドとして表示されている場合もあります。)
この2つです。作用は口臭の原因である物質の分解、吸着、細菌の抑制などがあります。
例:塩化亜鉛の消臭メカニズム
- 亜鉛イオンの放出
塩化亜鉛などの亜鉛化合物は、水などに溶けることで亜鉛イオン(Zn²⁺)を放出します。 - 化学反応による無臭化
放出された亜鉛イオンが、体臭や足臭、腐敗臭の原因となる揮発性の低級脂肪酸や、硫化水素、メチルメルカプタンといった硫黄化合物と結合します。 - 非揮発性の形成
この結合によって、揮発性のある悪臭成分は揮発性の低い金属塩に変化します。 - 悪臭成分の除去
揮発性を失った悪臭成分は空気中に留まることができなくなり、結果として臭いが除去されます。 - 具体的な応用例
体臭、足臭、靴臭、衣類臭の根本的な無臭化。
口臭予防のための洗口液など、口腔ケア製品への応用。
塩化亜鉛を用いた消臭法は、悪臭成分を単に覆い隠す「マスキング」とは異なり、悪臭物質と化学的に結合して無臭化する「化学的無臭化」の原理に基づいています。



この記事の効果のある成分とはお茶などに含まれるカテキンなどの天然成分による抗菌作用とかではなく化学的根拠に基づいた成分です。
実験結果からみてみよう


引用グラフ:口腔衛生学会雑誌「0.1%塩化亜鉛洗口剤の口臭抑制効果」
また、比較対象のクロルヘキシジン洗口液はどんな商品に入っているかというと
みんな大好きコンクールfのメイン薬効成分です。薬効は殺菌剤として扱われています。
グラフで見てわかる通り、洗口直後から口臭の原因物質が下がり始め、0.1%塩化亜鉛入りの洗口液のほうは30分後には口臭物質はほぼ0になります。それに対して0.05%クロルヘキシジン洗口液は半分も減少していません。





SNSでも、とりあえずコンクールFおすすめして「すごい効果がある!」って言ってるインフルエンサー多いよね。
コンクールFが口臭に効かないわけではないんです。むしろ口臭抑制効果を有する成分である、クロルヘキシジンが配合された洗口液とされています。
しかし、口腔衛生学会雑誌にも「継続投与による長期間の口臭抑制効果を有する洗口液として、高濃度のクロルヘキシジンが報告されている。これらの洗口液は抗菌作用を主な作用機序とするが、即効性に関する報告はない。またクロルヘキシジンの有効濃度は0.2%であり、高濃度のクロルヘキシジンは粘膜投与が制限されているほか、歯の着色、味覚異常、舌尖部の灼熱感などの副作用の報告があり、口臭予防のために高濃度のクロルヘキシジンを頻用することは現実的ではない。」と書かれています。



口臭のない人が長期的な口臭「予防」として使うのはいい!
でも、即効性を求めるであろう口臭がある人が使うにはベストではないと考えています。
有効成分のある製品
「塩化亜鉛」(ジンククロライドと表示されている場合もある)
「亜塩素酸ナトリウム」(二酸化塩素と表示されている場合もある)
商品 | 有効成分 | 一般販売 |
---|---|---|
プロペリ | 亜塩素酸Na | 歯科医院のみ販売 |
プロフレッシュ | 亜塩素酸Na | |
プロフレッシュCL | 亜塩素酸Na | 歯科医院のみ販売 |
セラブレス | 亜塩素酸Na | |
EBオーラルリンス | 亜塩素酸Na | 歯科医院のみ販売 |
ハイザック | 塩化亜鉛 | |
リステリン トータルケア ゼロ+ | 塩化亜鉛 | |
リステリン トータルケア+ | 塩化亜鉛 |
いろいろあるけど、違いは?
基本的には濃度の違いがあります。大きく大別すると一般販売されている商品は濃度に規制があります。
例えば、プロペリ、プロフレッシュ、プロフレッシュCLの濃度の違いは以下の通りです。





他にも亜塩素酸Naや塩化亜鉛が入っている商品はあります。ここにあるのはあくまで数ある商品の中の一部とお考え下さい。
ただ、一般販売されている商品を購入するよりも歯科医院で販売されているものの方が濃度が高い分、効果も高いということを覚えていてください。
各製品
プロフレッシュ


現在ではモデルチェンジしてこちらのデザインとなっています。
プロフレッシュCL


プロペリ


セラブレス


EBオーラルリンス


HI-ZAC(ハイザック)


リステリン トータルケア ゼロ+


リステリン トータルケア +


しっかり覚えて欲しい注意事項


もう一度、先ほどのグラフに注目してください。
口臭に効果のある塩化亜鉛ですが、口臭の原因物質がほぼ0になってから約90分でだんだんと増えてきていますよね?これは、口臭の原因物質を産生する細菌がどんどん口臭原因物質を生み出してしまっているためです。つまり、口臭に効果のあるものを使っても、一日中効果が続くわけではないのです。
口臭の原因は様々ありますが、その原因が歯周病の場合は歯周病という根本を治さなければずっと口臭が続いてしまいます。
しかし、歯周病は1~2日で治るものではありません。その間ずっと口臭に悩むのは嫌ですよね?歯周病の治療に専念しつつ、こういった商品で対処しながらケアもするというのがオススメです。