マウスウォッシュの(洗口液)の選び方を歯科医師が解説

こんにちは、歯科医師のどら猫です。

先日、よくネットゲームする友人からこんなことを言われました。

どら猫さん、マウスウォッシュって何買えばいいの?なんかおすすめある?

どら猫

目的(悩み)や口腔内状況によるけど、ざっくりとこんな成分が入ってるやつがいいとは言えるよ!

目次

マウスウォッシュの選び方(「化粧品」「医薬部外品」

市販のマウスウォッシュには、大きく大別すると薬用成分を含まない「化粧品」と、薬用成分を含む「医薬部外品」の2種類があります。

基本的には薬効成分が含まれる「医薬部外品」を選びましょう

商品の裏側に「化粧品」か「医薬部外品」か表示されていますので、チェックしてみてくださいね。

どら猫

適当に選ぶにしてもこれが一番簡単な方法だよ

マウスウォッシュの選び方(殺菌剤の種類)

マウスウォッシュは、配合されている抗菌剤(殺菌剤)でイオン性殺菌成分と非イオン性殺菌成分の2つに分類できます。

・歯や菌の塊の表面に作用するものがイオン性殺菌成分
・菌の塊の中まで浸透して、作用するものが非イオン性殺菌成分

それぞれ、特性が異なるので違いを理解した上で購入を検討してみてください。

イオン性殺菌成分

イオン系殺菌成分は、浮遊菌、表層の菌に対して効果的で、歯の表面やプラークの表面に付着して、持続的に殺菌効果を発揮します。

しかし、プラーク内部の細菌に浸透しにくいという欠点があり、歯磨き粉の成分と反応して薬効が弱くなってしまう場合もあります。そのため、歯磨き後すぐに使用は控えたほうがいいです。

代表的な薬効成分
塩化セチルピリジニウム(CPC)
・グルコン酸クロルヘキシジン(CHX)
・1,8-シネオール
・塩化ベンゼトニウム(BTC)

これらがイオン系殺菌成分にあたります。

非イオン性殺菌成分

非イオン系殺菌成分は、プラークの内部に浸透しやすいというメリットがありますが、即効性はあるが殺菌効果の持続性が劣るという欠点があります。

こちらは歯磨き粉の成分と反応しないため、歯磨きの直後に使用しても大丈夫です。

代表的な薬効成分
IPMP(イソプロピルメチルフェノール)
・ポピドンヨード(PI)
・エッセンシャルオイル

どっちが入ってるのを選べばいいの?

仕組みはわかったけど、どっち選べばいいの?なんか選ぶ基準あるの?

しっかり磨けている場合

歯磨きでプラークがしっかり除去できているのであれば、殺菌効果を持続させるのに有利なイオン系殺菌剤が配合されているマウスウォッシュを選びましょう。

磨き残しが多い場合

歯磨き後の磨き残しが多い場合or疑われる場合、マウスウォッシュを使用するタイミングがいつも歯を磨いてからある程度時間がたってからの場合非イオン系殺菌成分のマウスウォッシュが効果的ということになります。

アルコールタイプとノンアルコールタイプ

やっぱりアルコールタイプのほうが効果が強力なの?

どら猫

アルコールありでもなしでも効果は同じ!溶剤として入ってるだけだから変わらないよ!詳しくはこちらの記事を読んでみてね

どら猫のおすすめは?

どら猫

イオン系の殺菌剤が配合されているマウスウォッシュです。

そもそも、ちゃんと磨けていないないならマウスウォッシュを選ぶ以前に歯磨きのスキルを上達させたり、しっかり歯磨きできる時間を取りましょうということになります。

基本的に、ある程度は歯磨きできているという考え方で、実際にその人の口腔内状態を見れない不特定多数の人におすすめするのであれば塩化セチルピリジニウム(CPC)が入っている「イオン系マウスウォッシュ」をおすすめします

市販品に含まれるCPC濃度

厚生労働省が定める市販品におけるCPCの配合濃度は0.01~0.05%とされています。

日本で市販の洗口液として使用される濃度は50µg/mL以下のため、少し前までは日本で販売されているような低濃度のCPCによる効果は疑問がありました。

しかし、北海道大学大学院歯学研究院の研究グループがCPC製剤には新型コロナウイルスの感染予防や発症・重症化予防などの効果を期待できることが判明しました。

そして、CPCはコロナはもちろん、インフルエンザウイルスにも効果的だとわかっています。

マウスウォッシュをすることが普段の風邪の予防にもつながるのです。

引用
塩化セチルピリジニウム(CPC)は市販の濃度でも新型コロナウイルスの抑制効果があると判明
②CPCのSARS-CoV-2に対する抑制効果を解明~CPC含有口腔製剤による新型コロナウイルス感染制御に期待~(北海道大学)
③CPC(セチルピリジニウム塩化物水和物)のインフルエンザウイルス不活化作用を確認

低濃度でもしっかり殺菌力が高い

クロルヘキシジンも同じイオン系に分類されるのですが、クロルヘキシジンは同じ濃度でも殺菌力が低いです。さらにCPCは無味無臭に近いため、ポビドンヨードやクロルヘキシジンと比較して、「適用範囲が広く、製剤に利用しやすい」というメリットがあります。なので、CPCが配合されている洗口液のほうがいいと個人的に考えています。

クロルヘキシジンについて書かれた記事はこちら。

マウスウォッシュ製品の後ろを見て、成分に「塩化セチルピリジニウム(CPC)」が入ってるマウスウォッシュを買いましょう。

殺菌剤別にマウスウォッシュ購入の参考に

グルクロン酸クロルヘキシジン(CHG)

現在販売されている商品例

・コンクールF(ウエルテック)
・バトラーCHX洗口液(サンスター)

塩化セチルピリジウム(CPC)

現在販売されている商品例

  • モンダミン(アース製薬)
  • NONIO(ライオン)
  • システマSP-Tメディカルガーグル(ライオン)
  • GUM(ガム)
  • デンタルリンス(サンスター)
  • クリアクリーンデンタルリンス(花王)
  • クリニカアドバンテージデンタルリンス(ライオン)
  • キレイキレイ(ライオン)

塩化ベンゼトニウム(BTC)

塩化セチルピリジウム(CPC)と作用は、同じです。こちらは、口の中の細菌だけでなく、一般細菌やカンジダなどのカビにも殺菌効果を示します。口の粘膜に対して、適応は広く、傷ができた場合でも、適応できます。

現在販売されている商品例

  • GUM(ガム)
  • デンタルリンス(サンスター)
  • クリニカ アドバンテージデンタルリンス(ライオン)

ポビドンヨード

金属に対して強い腐食作用があるため、金属の詰め物や、被せ、インプラントがある方は使用しない方が良いです。

また、ヨードアレルギーがある方は、アナフィラキシーショックが起こる可能性があるので、使用してはいけません

現在販売されている商品例

・イソジンうがい液(シオノギヘルスケア)

どら猫

よく使われているうがい薬の代表!けど、歯科治療を行ったことがある人は要注意!

エッセンシャルオイル

植物に含まれる揮発性の特有の香りがある物質で、様々な成分(メントール、サリチル酸メチル、チモールなど)が含まれています。殺菌作用の他に、炎症を抑える効果もあるのが特徴です。

現在販売されている商品例

  • リステリン(ジョンソン&ジョンソン)
  • アセス液(佐藤製薬)
  • アセスメディクリーン(佐藤製薬)

まとめ

イオン系
・浮遊菌、表層の菌に対して効果的
・歯の表面やプラークの表面に付着して、持続的に殺菌効果を発揮します。
・プラーク内部の細菌に浸透しにくい
・歯磨き粉の成分と反応して薬効が弱くなってしまう

非イオン性
・プラークの内部に浸透しやすい
・即効性はある
・殺菌効果の持続性が短い
・歯磨き粉の成分と反応しない

殺菌剤の特性を理解した上で、ご自身に合っていると思われる洗口液を選びましょう!

私のおすすめはCPCが入ってる洗口液です!

では、また次の記事で

どら猫

歯ぁ磨けよ~

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